恋愛零度。


もうすぐお別れだ。日が落ちて、家に帰って、今日が終わってしまう。

寂しいな、ふと、そう思った。

家に帰るのが寂しいなんて。

誰かといて、帰りたくないだなんて、初めて感じた気持ちだった。

「……あのね」

ひとつだけ、あった。私の行きたい場所。

1人じゃなくて、桐生くんと一緒に。

私はゴクリと息を飲み込んで。思いきって言ってみた。

「ひとつだけ行きたいところがあるんだけど、いいかな?」

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