恋愛零度。
7.『待ってるから。』
いまよりずっと小さい頃、よくこの川原で遊んだ。
私と、お姉ちゃんと、奏多、それからマロンと。
学校から帰ると、いつも一緒になって、日が暮れるまで走りまわっていた。
楽しかったな、と思う。
時間なんて気にしなかった。めいいっぱい遊んで、楽しい時間が過ぎても、明日も会えるから。
明日も、明後日も、いつだって会えるって、そう信じて疑わなかった。
だけど、私とお姉ちゃんはもう一緒に外で遊んだりしないし、奏多もいなくなった。
まるで置き土産みたいに、突然うちにやってきたマロンだけを残して……。
あのころ、当たり前に信じていた未来は、もう、どこにもないんだ。