恋愛零度。
8.『誰を信じたい?』
「うぅ〜ん……ぜんっぜん、わからない」
三好さんが、はあ、とため息をついた。
駅前のショッピングモール。今日は三好さんに誘われて、買い物に着ていた。
『お願い、付き合って!』
金曜日。いきなりそう言われて、何事かと思った。
『この前聞いたんだけど、もうすぐ由良くん誕生日なんだって。それで、誕生日プレゼントを買いに行きたいんだ』
と恥ずかしそうに言う三好さん。
『でも、私の意見じゃなんの参考にもならないと思うよ?』
むしろそういうのは、経験豊富そうな渡辺さんのほうが知ってるんじゃ、と思うけれど……。
だけど渡辺さんは、本当に、由良くんのことがあまり好きじゃないのかもしれない。
三好さんに言われてから、意識して見てみると、たしかにそう思うところがあった。
由良くんの話になると、さりげなく会話から離れたり、おもむろにスマホをいじりだしたり、どこかに行ってしまったりするから。
でも、やっぱり気のせいなんじゃないかなって気もするけど。
人の気持ちに鈍感な私には、よくわからなかった。