恋愛零度。
そんなわけで、買い物に来て約2時間。
メンズの服屋や雑貨屋、スポーツ用品店まで、いろんなショップをまわってみたけれど、由良くんの好みも、というより男の子がなにを欲しがるかなんて、見当もつかなかった。
桐生くんにもさりげなく探りを入れてはみたけれど、
『あいつは食べ物あげときゃ喜ぶよ』
なんて、あまり参考にならない意見だったし。
「食べ物って……お菓子?ケーキとか?そもそも甘いもの好きなのかな?」
「明らかにリサーチ不足だよね……」
がくっと肩を落とす三好さん。
いつものポニーテールは肩まで下ろして、ジャケットにミニスカート、黒いキャップがよく似合ってる。
私はといえば、前回のダブルデートで空気を凍りつかせた個性派ファッションは封印して、中学の頃から着ている無地のシャツにジーパンに上着を羽織っただけの、おしゃれとはかけ離れた格好だ。
友達と休みの日に出かけることがいままでなかったから、私服に気を遣ったことなんてなかったけれど……
隣を歩いていると、ものすごく場違いに思えてきて、制服のありがたみをひしひしと痛感した。