恋愛零度。

三好さんに教えてもらえるのは嬉しかった。

自分じゃよくわからなくても、おしゃれな人に似合うと言ってもらえれば、自信が持てそうな気がするから。

いくつか店を見て、

「あっ、あれかわいい!」

と三好さんがショーケースの中のマネキンを指して言った。

普段なら、絶対に自分からは寄りつかないような、可愛い系の店だ。

「え……っ、あれ?」

ベージュのベレー帽に、薄いピンクのワンピースと白いニットのセット。ふわふわしたキャラメル色の髪をつけたマネキンは、すごく可愛いしそれだけで女の子らしくなれそうだけど、自分がそれを着ているところがまるで想像できない。

「着てみないとわかんないよ。さ、試着、試着ー」

「え、ええーっ」

買うつもりもないのに、試着なんてしていいのかな……。

「実際に着てみると、意外としっくりくることもあるよ。ねっ」

店員さんに案内してもらって、試着室に入った。

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