恋愛零度。



それからいくつか店をはしごして、気になったものは試着もしてみたけれど、なかなか決められなかった。

「疲れちゃったねー。休憩しよっか」

と三好さんの提案で、ドーナツ屋さんに入った。

「今日はいっぱい歩いたし、2つくらい食べちゃおうかな」

「むしろプラスになっちゃいそうだね」

色鮮やかなつやつやしたドーナツがずらりと並んでいる。ほんとうに、どれも選べないくらいおいしそう。

悩んだ結果、私はキャラメルナッツ、三好さんはクランベリージャムがたっぷり乗ったドーナツを選んだ。

「甘いっ!でも、おいしいーっ!」

三好さんが歓喜の声をあげて、

「うん、すごくおいしい」

と私も頷いた。

見た目の期待を裏切らず、ちょっと罪悪感すら感じるほどの甘さ。だけど、たくさん歩いた身体の疲れが、ふっと抜け落ちる気がした。
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