恋愛零度。
「ごめんね、なかなか決めれなくて」
私はカフェオレを飲みながら、謝った。
三好さんが、なに言ってんの、と笑いながら言う。
「それはお互いさまでしょ。あたしは諦めたから、今日は唯川さんがもういいって言うまで付き合うからね」
「ありがとう」
私は心からそう言った。
自分が欲しいものを選ぶのに、誰かに付き合ってもらうだなんて、考えたこともなかった。
それはその人の時間を奪うことで、迷惑がられることだと勝手に思っていた。
だから、そんなふうに言ってもらえて、私はホッとした。
ーーと、そのときだった。
見覚えのある顔が、店内に入ってきた。
私は、ヒヤリと背筋が凍る心地がした。
2人の女の子が、笑いながら歩いてくる。私はとっさに顔を伏せて、彼女たちが通り過ぎるのを待った。