恋愛零度。



「はあ……」

私はお弁当を食べながら、小さくため息をついた。

三好さんが休みの今日、渡辺さんは気を遣ったのか、昼休みになると、なにも言わずに教室を出て行ってしまった。

今日は由良くんもいなくて、桐生くんと2人きり。

だけどなにか喋る気も起きなかった。

「真白、なんかあった?」

「えっ、ううん」

私は慌てて首を振る。

昨日のことを、どう説明していいか、わからなかった。

「なにもないって感じには、見えないけど」

「…………」

「俺でよければ、話聞くよ?」

そんなふうに言われると、全部話してしまいたくなる。

訊きたいことが、たくさんある。

だけどうまく言葉にできなくて、苦しいこと。

本当のことを知って、友達が傷つくところを見たくないってこと。

いろんな気持ちがごちゃまぜになって、まとまらなくて、とてもひとりじゃ抱えきれなかった。
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