恋愛零度。
*
「はあ……」
私はお弁当を食べながら、小さくため息をついた。
三好さんが休みの今日、渡辺さんは気を遣ったのか、昼休みになると、なにも言わずに教室を出て行ってしまった。
今日は由良くんもいなくて、桐生くんと2人きり。
だけどなにか喋る気も起きなかった。
「真白、なんかあった?」
「えっ、ううん」
私は慌てて首を振る。
昨日のことを、どう説明していいか、わからなかった。
「なにもないって感じには、見えないけど」
「…………」
「俺でよければ、話聞くよ?」
そんなふうに言われると、全部話してしまいたくなる。
訊きたいことが、たくさんある。
だけどうまく言葉にできなくて、苦しいこと。
本当のことを知って、友達が傷つくところを見たくないってこと。
いろんな気持ちがごちゃまぜになって、まとまらなくて、とてもひとりじゃ抱えきれなかった。