恋愛零度。
「えっ?」
渡辺さんが目を丸くする。
「もしかして、それで千夏ちゃん、怒ってるの?」
「怒ってはいなかったと思う。でも……」
いつも笑顔を絶やさない三好さんが、泣いていた。
それくらいショックだったんだ。
「本当のことを知るのが怖くて、来れなかったんじゃないかな」
「本当のことーー」
渡辺さんの目が、一瞬、宙を泳いだ。そして、そっと足元に伏せた。
「そっか。そうだよね。私の態度が、誤解を生んじゃったんだね」
「誤解なの……?」
「誤解だよ。でもね、2人に隠してたことがあるのは、ほんとなんだ」
私は膝に置いた手に、ぎゅっと力を込めた。
私は、2人にいままで通り仲良しでいてほしいから。
だから、渡辺さんの話も、ちゃんと聞かなきゃいけないんだ。