恋愛零度。


ダブルデートの帰りーー。

私は自分から、桐生くんを誘った。

楽しくて、この時間が終わってほしくない、もっと一緒にいたいって、思ったから。

あんなに自分から誰かを求めたのは、初めてだった。

『俺、待つよ。真白がその気になるまで、ずっと、待ってるから』

桐生くんの言葉が、嬉しかった。優しいなって思った。

私は桐生くんを、もしかしたら好きになるかもしれない。

だけど、そう感じだ瞬間に、私の心が自己防衛するみたいに、つよく反発する。

好きになっちゃダメ。これ以上近くなっていう、警告音が鳴り出す。

『君はなにをそんなに怖がってるの?』

桐生くんが言った通りだった。

私は、人を好きになるのが、怖いんだ。

好きになって、近づきすぎて、失うことが、怖いんだ。

そんな微妙な気持ちの狭間で迷っている。

ーー場合じゃなかった。

期末テストまであと3日。三好さんははやくも諦めているみたいだけど、私は闘争心に燃えていた。

前回は、桐生くんに負けて、死ぬほど悔しかった。あんなに誰かに対して悔しいと感じたのは初めてだった。

だから、恋愛とかデートとか、そんなことに気をとられている場合じゃないのだ。

私は、そういうことを両立できるほど、器用じゃないんたから。
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