恋愛零度。
*
はあ、と吐く息が白い。風が頰を切るように冷たくて、痛いくらい。
そんな寒空の下でお弁当を食べているのは、私たちくらいかもしれない。
「……真白」
桐生くんが、ぶるっと肩を震わせながら言う。
「あのさ、さすがに、真冬は外で弁当食べるのきつくない?」
「そう?私、寒いの平気だから。ほかの場所で食べたかったら、好きにして」
「冷たいなあー」
と言いながらも、頑として動こうとしない。
「じゃ、私、勉強したいから、もう行くね」
お弁当を食べ終えてすぐ、私は立ち上がって言った。