恋愛零度。
「さ、もうひと滑り行こっか」
「ちょ、ちょっと休憩しない?」
「せっかく勢いついてきたんだから、後ひと息だっえ」
強引な桐生くんに引っ張られて、全身くたくたになるまで滑った。
休憩スペースで、ホットのカフェオレを飲みながら、私はどっと息を吐いた。靴を脱いだ両足を、ようやく窮屈から解放された。
「なんか、今日1日で一生分のスケートを滑った気がするよ……」
「もうこりごり?」
桐生くんもおなじものを飲みながら、そう言って笑う。
私は、ううん、と首を振った。
たしかにすごく疲れたけれど……
「楽しかったよ。体を動かすのって気持ちいいんだって思った」
「うん、俺も」