恋愛零度。
「でも、なんでスケートなの?」
と私は尋ねた。
なんだか、単なる思いつきというより、前から考えていたような気がしたから……気のせいかな。
桐生くんは少し考えてから答えた。
「真白としたかったことリストのひとつ、かな」
「り、リストって……そんなにあるの?」
「まあね。言わないけど」
そのときーー桐生くんが、ふっと寂しそうな顔をしたような気がした。
君はときどき、そういう表情をする。
その度に、気になってしまう。
いつかの君の涙と、重ねてしまうんだ。
「真白は?したいこと、ある?」
「わ、わたし?」
急に訊かれて、私はたじろぐ。
「うん、いまから、なにしたい?」
なにしたいって言われても……考えて、ふと、思い出した。
「あ、じゃあ、ひとつだけーー」