恋愛零度。

なにーー?

そう言おうとした瞬間、桐生くんの顔がふいに近づいて、

私の唇に、落ちてきた。


「…………っ!?」

なにが起こったのか、一瞬、頭が真っ白になって、わからなかったけど。

いま、たしかに……

キス、したよね……?

ざわめきが戻ってくる。私ははっと我に返った。

だけど、なにも言えなくて、馬鹿みたいに立ち尽くす。


「……ごめん」

と桐生くんが慌てた様子で言った。

「ごめん、いまの忘れて……」

「なに、言ってるの?」

私はつぶやいた。

「そんなの……無理に決まってるじゃん」


身体が熱い。わけもわからないまま、涙がこぼれそうになる。

なんで、こんな気持ちになるんだろう。


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