恋愛零度。
「ず、ずるいよ、忘れろなんて……そんなの、無理だよ……」
私は震える声で言った。なにを言ってるのか、自分でもよくわからないまま。
「真白……?」
自分の気持ちの変化には、気づいていた。
でも、認めたくなくて、勉強やなんかで、誤魔化したりして。
ずっと、変わるのが怖かった。
『好きになっちゃいけない』
そうやって、自分に呪いをかけるみたいに、頑なにそこから反発しようとした。
ーーでも、どうしたって、君を無視することは、できなかった。
誰も好きになれない。盛り上がれない。
そんな、常に低体温だった私の心に、君は強引に押し入ってきて。
氷みたいに固まった心を、あたたかく包んでゆっくりと溶かしてくれた。
最初は嫌だったのに、いつの間にか一緒にいることが心地よくなって、もっと一緒にいたいと願った。
どんどん変わっていく自分の心に、ついていくのが大変で。
だけど、もう知ってるんだ。
前とおなじようには、戻れないってこと。
ねえ、わかってる?
君が、私をここまで連れてきたんだってこと。