恋愛零度。
「そういうの、暑苦しい」
お姉ちゃんは、表情を変えないまま、冷たく言い放った。
「昔から知ってるから心配するとか、大事とか。いつまでも子どものままじゃいられないの。進む道が違えば、関係なくなるのは当たり前でしょ」
「そんな……」
「私にとって、本田くんは元クラスメイト。それ以上でもそれ以下でもないから」
それ以上でも、それ以下でもない。
じゃあ、過去はどうなるの?
私たちが一緒にいた過去は、あの楽しかった時間は、お姉ちゃんのなかにはもう、なにも残っていないの?
「……そっか」
私は自分の理想を押しつけていただけなんだ。
お姉ちゃんにも、奏多にも、あの頃の思い出を大切に思っていてほしいって。
いつまでも過去にしがみついて離れられなかったのは、私だけなんだ。