恋愛零度。
昼休み。いつものように、中庭でひとりランチをしていたら、
「あ、今日は飲んでないんだ、ごぼう茶」
「……っ!?」
いきなり草陰からひょっこり出てきた顔に、私は心臓が止まりそうになった。
「傷つくなー。その反応」
「……じゃあもっと普通に出てきてくれる?」
「だって、正面から行くと、君逃げるから」
「う……」
たしかに、逃げているのは本当だ。
あれからというもの、廊下でその顔を見かけるたび、彼はしきりに声をかけてこようとするから、私はなるべく会わないように逃げ回っていた。