恋愛零度。
「あの手紙を書いたのは、奏多なんだ」
「え……?」
手紙?
思いもよらない言葉に、私は動揺する。
『あなたのことが好きです。』
そうだーー唐突に思い出した。
あのきれいな字を、どこかで見たことがあると思った。
そうだ、奏多は昔から、字を書くのが上手だった。
私に書き方のコツを教えてくれたこともあった。
どうして忘れていたんだろう……。
だけど、手紙には、奏多の名前はどこにもなかった。
かわりに書いてあったのは、私と、桐生くんの名前だった。
「どういうこと……?」
「あいつに頼まれたんだ。この手紙を真白に渡してくれって」
どくん、と胸が鳴った。
それって、まるで……。