恋愛零度。


「真白への最後の手紙だから。直接じゃなくていいから、渡してくれって」

「ねえ……意味わからないよ……最後の手紙って、どういうこと?」

私は桐生くんに詰め寄った。

ーー聞きたくない。知りたくない。

だけど、私の心が、知らなきゃと言っている。


桐生くんの濡れた黒い瞳が、私を見つめる。

「奏多は……」

白い君の顔の、泣き腫らした涙の跡のうえから、また、涙がこぼれ落ちる。

「奏多は、もういないんだ」


もうどこにもいないんだ。


桐生くんは、泣きながら、そう言った。



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