恋愛零度。
11.『いってらっしゃい。』
次の日、私は学校を休んだ。
いつもはアラームの音で起きるのに、今日はいつのまにかアラームが消えていて、窓を叩く雨音で目を覚ました。
お姉ちゃんはとっくに学校に行っていて、窓の外から、雨音に紛れてしびれを切らしたようなマロンの鳴き声が聞こえてきた。
傘をさして近所をぐるりと散歩して、学校には、体調不良で休むと連絡をした。
学校って電話一本で、こんなに簡単に休めるんだ、と思った。
あっけないくらい、簡単なことだった。
いままで、絶対に仮病なんて使ったことがなかったのに。
どんなに行きたくなくても、絶対に休まなかったのは、いつでも奏多がいてくれたからだと知った。
会えなくても、私の心にはいつも、奏多がいて、
『真白、強くなれ』
そう言葉をかけてくれた。
だけど……
その奏多はもういない。
この世界のどこにも、いなくなってしまった。
それを知った瞬間、私の心のなかにいたはずのその姿も一緒に、どこかに消えてしまったんだ。