恋愛零度。
私は部屋の壁に背中を預けて、膝をかかえてぼうっと座っていた。
なにかしなきゃ、そう思うのに、身体が重く沈んで、なにもする気がおきない。
こんなときに、しなきゃいけないことって、なんだろう。
勉強しかしてこなかった私に、それ以外にすることなんてなかった。
スマホには、三好さんと渡辺さんから、心配するメッセージが届いていた。
『大丈夫?』
『ノートとっとくよー。ゆっくり休んでね』
ーー大丈夫じゃないよ。
私は返信する気にもなれずに、心のなかでつぶやいた。
桐生くんからは、なんの連絡もなかった。
昨日、桐生くんから聞いた話は、全部、作り話のように聞こえた。
全部嘘だって、言ってほしかった。
だけどーー、
ふいに見せる桐生くんの悲しそうな表情や涙。それに、手紙を受け取ってから、桐生くんに会うまで、間が空いたこと。
それらが全部真実だと、物語っていた。