恋愛零度。
「いい加減にして。お母さんを責めるために来たわけじゃないでしょ」
たしかにそうだ。お姉ちゃんの言うことはいつも正論だ。正しくて、冷静で。
でも、私はそんなふうには、なれなかった。
私は泣きたいのを堪えて病室を飛び出した。
「真白!」
お母さんが呼び止める声も、聞こえないふりをして。
なんでこうなるんだろう。
お母さんが目を覚まして、嬉しいはずなのに。
よかったって、言いたかったはずなのに。
冷たく薄暗い廊下の角で、私は足を止めてつぶやいた。
「……ほんと、何しにきたんだろう」