恋愛零度。
*
お姉ちゃんが帰ってきて、私の部屋のドアをノックする。
「叔母さん、来ないことになったって。あんたが余計なこと言ったせいで」
お姉ちゃんが不満げに顔を歪ませて言った。
「来てくれるって言ってるんだから、来てもらえばいいじゃない。あたしだって勉強しなきゃいけないし、あんた家事なんてできないでしょ」
「……できるよ」
私は不貞腐れてつぶやく。
自分でも、幼稚だなと思う。意地はって、できもしないことをできるなんて言って。
まるっきり子どもだ。
「あっそ。勝手にすれば。私はやらないから」
バタン、と起こって出て行った。
家事くらい、その気になればできるはず。
普段、お母さんがやっているのと同じことをすればいいだけなんだから。
だけどーー、
「……なんで?」
カレーを作ろうとしたけど、野菜もお肉も、見事に全部焦がしてしまって、とても食べ物とは思えない代物になってしまった。
結局、夜ごはんは、あたためてご飯にかけるだけのレトルトカレー。
ご飯を食べている間、お姉ちゃんも私も、ひとことも話さなかった。
テレビもつけずに、部屋はお墓みたいに静まり返っていて。
ひとりじゃないのに、ひとりでいるときより寂しいなんて……
こんなの、初めてだった。