恋愛零度。
*
「……嘘でしょ」
お姉ちゃんは唖然として言った。
私は無言で首を振った。
本当は、言いたくなんてなかった。
口に出せば、認めてしまうことになるから。
だけど、私が認めても認めなくても、その事実は変わらないから。
奏多はもう、この世界のどこにもいないってことはーー。
「桐生くんがそう言ったの……?」
私は、こくんと頷いた。
「そう……」
その辛そうな表情から、中学卒業後のことは本当になにも知らないのだとわかった。