恋愛零度。

「見せたくなかったのよ。自分が弱っていくところを。真白にとって、強い自分でいたかったのよ」

お姉ちゃんは、奏多の声を代弁するかのように言った。

うそ、そんなの……

「勝手すぎるよ……」

目の奥がじわりと熱くなる。

勝手だよ。私はずっと、待ってたんだよ……。

「そうよ、勝手なのよ。見栄っ張りで、馬鹿で、そのくせいいとこばっか見せたがって。だから男は嫌なのよ」

でも、とお姉ちゃんは、優しい口調で続けた。

「勝手でもなんでも、奏多くんは、あんたのことを守りたかったのよ」

「…………っ」

せり上がった熱い涙が、両目からこぼれ落ちた。

ぼろぼろと大きな粒が、自分の手を濡らす。

そんなの、遅すぎるよ。

いまさら知ったって、もうその言葉に、私が答えることはできないのに。

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