恋愛零度。
*
病室のドアを開けると、お母さんは私を見て、
「真白、あんた、学校休んでるんですって?」
と開口一番、咎めるような口調で言った。
そんなことを告げ口するのは、お姉ちゃんしかいない。
「……いいでしょ、こんなときくらい」
「よくないわよ。みんなから遅れをとったらどうするの」
「いいの、こんなときくらい」
私はそう言って、家から持ってきたりんごと果物ナイフを取り出した。
でも、りんごの皮むきなんてしたことがないから、全然うまくできない。危うく指を切りそうになって、りんごを床にゴトンと落とした。
「……真白、もしかして笑わせようとしてる?」
「真剣なんだから邪魔しないで」