恋愛零度。

私は、奏多が病気だったこと、亡くなったことを、話した。

お母さんは、私の話を、静かに聞いていた。

話し終わると、

「真白のことが、大切だったのね」

と寂しそうに言った。

「……そんなに自分のことを大切に思ってくれる人がいるって、幸せなことなのよね」

うん、と私は頷いた。

もう伝えることはできないけれど。

私は、そんなふうに優しい気持ちに包まれて、幸せだったんだ。
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