恋愛零度。
12.『笑って。』
*
病院からバスに乗って、その足で学校に向かった。
いつか君と見たイチョウ並木は、すっかり葉が落ちて、枝だけが冷たい風に揺れている。
ーー桐生くん。
私は君に、言わなきゃいけないことがある。
ひどいことをたくさん言った。私が辛いときや苦しいとき、そばにいてくれた君を、自分が傷つくのが嫌で、撥ねつけた。
だけど、やっとわかったんだ。
私のことが好きじゃなくても。本心の言葉じゃなくても。
嬉しかったよ。
君が好きだと言ってくれた私を好きになってみようって、そう思えたんだよ。
ありがとう。
何度もひどいことを言って、ごめんね。
そして、いますごく、君に会いたい。