恋愛零度。
学校に着く頃には、もう授業は終わっていた。
帰ろうとしている人、部活に行く人たちを横切って、私は階段をのぼった。
私服のまま着てしまったから、ものすごく目立っている。
せめて制服に着替えてこればよかった……といまさら気づいた。
目立つのは嫌だけど、恥ずかしかっだけど、でも引き返さなかったのは、
どうしてもいま、君に伝えたいことがあったから。
「唯川さんっ!?ど、どうしたの?」
ジャージ姿の三好さんとすれ違って、びっくりされた。
「えへへ、ちょっとね……」
「もう大丈夫なの?」
「うん。来週からは、ちゃんと行くよ」
「そっかぁ、ならよかった」
私はお礼を言って、1年3組ーー桐生くんの教室に向かった。