恋愛零度。


「うわ、真白ちゃん、どしたのそんなカッコで」

教室から出ようとしていた由良くんと、ばったり出くわした。

「桐生くん、いる?」

「え、蒼?蒼なら、昨日から休んでるけど」

「えっ、昨日から?」

「真白ちゃん、なんか聞いてない?ラインしても返ってこないし」

「なにも……」

「あいつ、放浪癖あるからなあ。どっか旅にでも出てたりしてなー」

由良くんと別れて、桐生くんに電話をかけてみる。

『おかけになった電話は、電源が入っていないか、電波の繋がらないところにーー』


どうしちゃったんだろう、桐生くん。

2日も学校を休むなんて。電話にもでないし……。

胸が嫌な感じにざわざわとする。

奏多がいなくなったときとおなじ。

あのとき、私は奏多がどこかに行ってしまうんじゃないかって感じながら、なにも訊けなかった。

チャンスならいくらでもあったのに、すぐにでも会える距離にいたのに、

あのときの私は、くだらないことばかり気にして、なにもしなかった。

そんなことをしているうちに、奏多は遠くに行ってしまって、

二度と会えない人になった。


もう、あんな思いはしたくない。

どうしても、君に会って、伝えたいことがあるんだ。

うまく言えるかわからないけど、頑張って話すから、君に聞いてほしいんだ。


ーーだから、お願い。




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