恋愛零度。
考えてみれば、私は君のことを、なにも知らなかった。
君は私の話をたくさん聞いてくれたのに、私から踏み込んで聞くことはなかった。
家族のこと、好きなこと、嫌いなこと、友達のことーー
本当は訊きたいことがたくさんあったのに、興味があるって知られるのが恥ずかしくて、いつも呑み込んでしまってた。
馬鹿だね私。大切なこと、忘れてた。
大切な人がそばにいて、ふつうの話ができること。
それはちっとも当たり前のことなんかじゃない、
いつなくなるかわからないから、そのときにしかできないから、大事なんだってことを。