恋愛零度。


もしかして、と思った。

あの場所で、君が待っているんじゃないかって。

そんな予感がした。

凍えるような寒さだった。おまけに向かい風がびゅうびゅう吹いて、顔が痛い。でも、私は走った。

もし、君がそこにいるなら、一刻も早く、会いたくて。

ざあ、と強い風が吹いて、足元の草が揺れた。

川のそば。こんなに冷たい場所で、君はひとりで、座っていた。


「ーー桐生くん」

呼びかけても、返事がない。

聞こえなかったのかな、と思って近づいてみると、

「ね、寝てる……」

すう、すう、と静かな寝息を立てている。

私はホッとして、となりに座った。

思わず見惚れてしまうくらい、白い肌、ふわふわした髪。

そのとき、

「真白……?」

ふいに、君が目を覚まして、こっちを向くから、ばっちり目があってしまって、ドキリとした。

「もしかして、見惚れてた?」

にやりと笑う桐生くんに、

「そ、そんなわけないでしょ」

顔を真っ赤にしながら、バレバレな嘘をつく私。

「携帯電源切れてるから、心配したよ」

「あ、ほんとだ。ごめん、全然気づかなかった」





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