恋愛零度。
「いつからいたの?」
「んー、いつからだっけな」
と君はのんきに笑う。
「奏多のところに行ってきたんだ。さっき、帰ってきたとこ」
「えっ?」
思いもよらない言葉に、私は目を丸くした。
「昨日のうちに帰るはずだったんだけど、雪で電車停まっちゃって、泊めてもらうことになって」
「雪……?」
この辺では、雪なんて降ってなかったはずだけど。
もしかして、
「そんなに遠くまで行ってたの?」
「遠いよ。たまに行くんだけど、毎回小遣いなくなるから」
桐生くんは少し笑って、それから真面目な顔になった。
「いつか、真白も連れ行こうと思ってる。でも、今回は、ひとりで行きたかったんだ。訊きたいことがあったから」
「訊きたいこと……?」
「もちろん、本人は答えてはくれないんだけど」
でもーー、
「おかげで、決心はついた」