恋愛零度。
*
それから、桐生蒼は、私の前にたびたび現れるようになった。
たびたびというか、ほとんど毎日。
「よっ、真白」
「ひ………っ!」
嫌がらせのように私のひそやかなランチタイムを邪魔してきては、
「あー真白の反応、おもしろ」
などと言って笑っている。
なんて悪趣味な奴。
「……あのさ、親しくもないのに勝手に名前で呼ぶのやめてくれる?」
「なんで?可愛いのに」
「か、可愛いって……」
「照れる真白も可愛い」
にっこり笑う顔が、悪魔みたいに見えてきた。
「照れてないし、可愛くもない!」
「それを照れてるって言うんだよ」
桐生くんはくすくす笑った。
……もう、なんなのこの人。