恋愛零度。



それから、桐生蒼は、私の前にたびたび現れるようになった。

たびたびというか、ほとんど毎日。

「よっ、真白」

「ひ………っ!」

嫌がらせのように私のひそやかなランチタイムを邪魔してきては、

「あー真白の反応、おもしろ」

などと言って笑っている。

なんて悪趣味な奴。

「……あのさ、親しくもないのに勝手に名前で呼ぶのやめてくれる?」

「なんで?可愛いのに」

「か、可愛いって……」

「照れる真白も可愛い」

にっこり笑う顔が、悪魔みたいに見えてきた。

「照れてないし、可愛くもない!」

「それを照れてるって言うんだよ」

桐生くんはくすくす笑った。

……もう、なんなのこの人。

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