恋愛零度。
『真白っていうんだ。かわいくて、泣き虫で、気づくといつもいじめられててさ。ほっとけないんだよな』
『なんだそいつ、弱っちいな』
そう言うと、奏多はいや、と懐かしそうに言った。
『真白はやられっぱなしに見えて、案外強いんだよ。どんなに嫌なことがあっても学校休んだりしないし、人の悪口も絶対に言わない』
『ふうん』
よくわからなかったけれど、
『俺もそのうち好きな子とかできんのかなあ』
『できるよ。そのときは、どんな形でもいいから、その子を守ってやれよ』
『できてもいないのにそんなことわかんないよ』
『まあ、だよな』
奏多はいつも笑っていた。
だから、退屈な入院生活も、悪くないと思い始めていた。