恋愛零度。
今年の春。
奏多に、珍しくメールじゃなく、電話をかけた。どうしても、言いたいことがあったから。
『俺、高校生になったよ』
奏多の病気が悪化していることを知らなかったから、ごく普通に、そんな報告をした。
『唯川真白って子がいた。入学テストで1位だった。奏多が言ってた子だよな?』
電話の向こうで、奏多が息を呑むのがわかった。
『そっか……真白、頑張ってるんだな』
なあ、蒼ーーと奏多は言った。
『真白と友達になってやってくれないかな。あいつ、自分から誰かに話しかけるのが苦手で、1人で寂しい思いしてるかもしれないから』
『そんなこと言ったって……クラスも違うし、接点もないしなあ』
接点なら、ひとつだけあるけれど、奏多からは口止めされていたから言えなかった。