恋愛零度。
そして、9月ーー
奏多から、久しぶりにメールが来た。
『頼みがある。こっちに来てくれないか』
その文面を見て、どきりとした。
知らない町の、知らない病院の名前。奏多はそこにいるらしい。
すぐに行かなければいけない気がした。だから、学校を休んで、電車を乗り継いで、その病院まで行った。
久しぶりに会った奏多を見て、愕然とした。見違えるほど痩せこけた顔。身体に繋がれたいくつものチューブ。
『治ったんじゃなかったのかよ……』
『治らないんだ。もうすぐ死ぬんだってさ、僕』
耳を疑った。
そのとき、初めて知った。
奏多が引っ越したのは、地元よりもっと大きな、最先端の設備が整っている病院に転院したからだった。
それほど深刻じゃなかったはずの奏多の病気は、中学の頃より、ずっと悪化していたのだ。