恋愛零度。



それから間もなく、奏多は病院で息を引き取った。


葬式に出るために、また、学校を休んだ。

そこにいたのは顔も知らない大人ばかりで、なんだか、間違った場所に来てしまった気がした。

それとも、奏多が作った変な芝居に巻き込まれているような、奇妙な感覚。

家に帰っても、奏多がいなくなったという実感が全然湧かなかった。

だけど、奏多から受け取った最後の手紙ーー

その手紙だけが、ただひとつの現実に思えた。

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