恋愛零度。


「私もね、桐生くんに、言いたいことがあったんだ」

そのために、こんなにも必死に、ここまで走ってきた。

もし、君がいなくなってしまったらって、不安で仕方なかった。

うまく言える自信なんて、全然ないけど。

それでも、ちゃんと伝えよう。

いまの、嘘のない気持ちを。

あのねーー

私は息を吸って、言った。

「私がいま、いちばんそばにいたいのは、桐生くんなんだよ」

その瞬間、君が大きく目を見開いた。

「……ほんとに?」

私は頷いた。

「たくさん迷って、悩んで、やっと見つけた答えだから、本当だよ」


奏多に会いたくて、毎日泣いた3年間。

そして、もう2度と会えないと知ったときの衝撃。

学校も勉強も家族のことも、いままで大事にしていたすべてのことが、どうでもよくなった。光を見失って、このまま暗闇に消えてしまいたいと思った。

でもーー、

そのなかに、君の姿を見つけた。君は私に手を差し伸べてくれた。

いつも強引だけど優しいその手が、私をここまで連れてきてくれたんだ。


そのとき、強く思った。

ーー君に会いたい、って。

会えなくなるのは、嫌だって。

だから、もう迷わないよ。


「私も、桐生くんのことが、好きだから」




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