恋愛零度。
人を好きになっちゃいけないって、呪いのように、ずっと思っていた。
だから奏多への気持ちに気づいていても、それを認めずに、伝えることもできなかった。
でも、好きになっちゃいけない理由なんて、どこにもなかったんだ。
誰かを好きになるのは、自然なことだから。
その気持ちをいちばんに、自分が認めてあげなきゃいけなかったんだ。
認めてしまったら、ずっと行き場がなくて苦しかった心が、すっと軽くなった気がした。
私は目に涙を溜めたまま、空を見上げた。
白い空からはらはらと雪が舞い落ちる。ゆっくりと、この世界を白く染めてゆく。
「奏多、見てるかな」
「うん、見てるよ、きっと」
ーー僕の大切な人に、幸せになってほしい。
偶然なんかじゃなかった。
いまここにある幸せは、奏多が繋げてくれた、奇跡だったんだ。
奏多の願い、叶えたよ。私、いま、笑ってるよ。
幸せだよ。これからも、たくさん笑うから。
だから、見ててね。
楽しかった思い出のこの場所を、もう悲しい涙ばかりの場所にはしない。
君と一緒に、幸せに変えていくんだ。