恋愛零度。
Epilogue.
昨日の雪は、夜中降り続けて、朝には辺り一面、白く染まっていた。
その道を、サクサクと足跡をつけながら学校に向かう。
「明日から冬休みだね」
私は言った。
「だな」
と隣で桐生くんが頷く。
「で、クリスマス、どうする?」
「…………」
そうだった。いろいろバタバタしてて忘れてたけど、そんなイベントがあったっけ。
「……もしかして、忘れてた?」
「わ、忘れてないよっ!」
慌てて言うと、桐生くんがぷっと吹き出した。
「べつにいいけどね。俺は、真白と一緒にいられれば」
いつもみたいに、恥ずかしげもなく、君はそんなことを言う。
「私も……一緒にいられれば、いいかな」
私は火照った顔を逸らして、そう言った。
今度はお気に入りの服を着て、君に会いたい。
どこにでも行ける気がした。
どこだっていいと思えた。
君が、そばにいてくれるなら。
「朝から熱いですねー、おふたりさん」
後ろから楽しげな声が聞こえて、ぱっと振り向く。
「おはよ♪」
とにっこり笑う三好さん。
……とその隣には。
「おはよー」
と由良くん。
由良くんの誕生日に三好さんから告白して、晴れて付き合うことになったふたりは、すごくお似合いだと思った。
「あーあ、いいなぁ。みんなラブラブでー」
と渡辺さんが羨ましそうにつぶやく。
「毎日のように告白されてる人がなに言ってんの」
「だってー、ひとりに決められないんだもん」
「なんか贅沢なこと言ってるよ」
朝、いつもの道に、笑い声が響く。
少し前までは、ひとりで歩いていたこの道を。
これからは、大好きな人と一緒に歩いていく。
これからの季節ーー春も、夏も、秋も、冬も、
ずっと、君の隣で笑っていたい。