恋愛零度。



「はあああああ……」

この数日間で、何度ため息を吐いただろう。

ため息ひとつで幸せが逃げていくなら、私の幸せなんて、もうとっくにマイナスにちがいない。

いつものように、学校から帰って、川原までマロンの散歩に来ていた。

この場所でだけは、誰にも邪魔されることなく、ホッと息をつくことができる。

どうして私なんだろう、って、100回くらい考えた。

一目惚れなんて言葉、いちばん信用できない。

ただ顔を見ただけで、話したこともない相手を好きになるだなんて、絶対おかしいでしょ。

仮に本気で好きだと思ったとしても、そんなの勘違いだ。

きっと、なにか企んでいるんだ。

なにか悪いことを……って、なにを?

お金持ちでもなければ美人でも人気者でもない私を騙して、いったいなんのメリットがあるっていうんだろう。

人を好きになったこともない私には、まったくもって理解不能だった。

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