恋愛零度。
3.『貸そうか?』
午前の授業が終わって、いつも通り中庭でお弁当を食べていたら、
「お、いたいた♪」
「……だから、なんで毎日毎日ここに来るの」
「なんでって、真白に会いたいからに決まってるじゃん」
「…………」
会いたいとか好きとか、そんな恥ずかしい台詞をさらりと言ってのける男なんて、絶対に信用するもんか。
でも、だんだん反発するのも、面倒になってきた。
もう私は何度も断ったはずだ。
『もう話しかけないで』
『金輪際ここに来ないで』
『迷惑なんだけど』
悪口なんて普段は怖くて言えない小心者な私がここまで言っているのに、この男、まるでへこたれる様子もないし。
「……もしかして、1日経ったら記憶がリセットされる病気なの?」
「あはは、そんな特異なキャラ設定ないって」
「じゃあなに?ストーカー?」
「俺はただ、君と話がしたいだけ」
「話ってなんの?」
「普通の話だよ。好きなこととか、苦手なこととか」
……苦手な人なら、間違いなくあなたですけど。
はあ、となんだか言い返すのも疲れて、私はため息をついた。
いままで誰かに好かれたこともなければ、友達すらまともに作れない私が、どうしてこんな変な人に好かれてしまったんだろう。
いや、変だから私のことが好きなんて言ってるのか。