恋愛零度。
4.『迎えにきたよ。』

悪いことに、悪いことは重なるものだ。

朝、席につくなり、

「ゆ、ゆ、ゆ、唯川さんッ!」

三好さんがすごい勢いで詰め寄ってきた。

「な、なに?」

「あの、あのあのね、さっき、すごい噂聞いちゃったんだけど……っ!」

ぜえはあ肩で息をしながら、

「唯川さん、桐生くんとお弁当一緒に食べてるって、ほんと!?」

「…………」

ついにきたか、と私は心の中でため息を吐く。

なんとなく、いつかはこうなるだろうなって、予想はしていた。

私はそういう情報にはとことん疎いけれどーー、

桐生くんは、たぶん、モテるんだろうなって。

あれだけ整った顔立ちで、背が高くて、頭がよくて、爽やかで(性格は変だけど)。

考えてみれば、モテそうな要素を詰め込んだような人だ。

そんな人が、私みたいな教室の後ろの黒板消しくらい存在感のうすい女子と一緒に中庭でランチしていたら、不可解に思う人が続出することなんて、考えなくてもわかることだった。

……当の本人は、そんなことまるでお構いなしみたいだけど。
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