恋愛零度。
「うわぁー、すっごい落ち葉。これ全部拾うのかな?」
紅葉が色づき始める季節。風に飛ばされた葉っぱが地面に落ちて、そこら中に鮮やかな色の絨毯をつくっていた。
「だるー。こんなんほかっとけばよくない?」
「適当にやって遊ぼうぜ」
案の定、そのうち、ギャハハと転げ回りながら遊びはじめる男子がいて、なかなか作業がはかどらない。
男子って、本当に単純……。
「馬鹿みたい」
「あはは、バカみたーい」
と私の声と同時に、三好さんの明るい笑い声が重なった。
「あ、かぶった!」
と三好さんは私に向き直って、また笑う。
ニュアンスがずいぶん違った気がするけど……。
私もつられて「だね」と笑った。
それから、ストン、と沈黙が降りてきた。黙っているのは向かい合っている私たちだけで、まわりは相変わらずうるさかったけど。
謝るなら、いまかもしれない、と思った。
ーーそのとき。
「あのさ」
と先に口を開いたのは、三好さんのほうだった。
「唯川さん、さっき、私が桐生くんのこと好きなのかって、訊いたよね」
くしゃり、と葉っぱの音を手の中で鳴らしながら、三好さんは言った。
同じ話をしようと思っていた私は、びっくりして顔をあげた。