恋愛零度。
「う、うん」
少し緊張しながら、私は頷く。
「それね、全然違うから。あたし、いまは部活一筋で、好きな人とかいないし」
「え、そうなの?」
あっけらかんとした言い方に、私はぽかんとする。
「そうじゃなくて、あたしね」
少し言いづらそうに頰をかいて続ける。
「唯川さんと、仲良くなりたかったんだ」
「え……?」
「あたし、じつはね、唯川さんに憧れてたとこあって。頭良くて、落ち着いてて、まわりの意見に惑わされないで、あたしにないものたくさん持ってて、カッコいいなあって」
「か、カッコいい……?」
思ってもみない言葉だった。
「だからね、2学期の席替えで、席が前後になったとき、話しかけるチャンス!って思ったの。でもあたしバカだし、共通の話題とか見つからなくて」
「…………」
そんなふうに思ってくれていたなんて、全然知らなかった。
私はいつも素っ気ない態度をとっていたのに……。