恋愛零度。
桐生くんは笑いながら、さりげなく葉っぱを払いのけてくれる。
「うん。もう大丈夫」
「……ありがとう」
そう言うと、桐生くんがふっと目を伏せた。
「真白の友達が、言いにきたんだ。真白が連れていかれたから、助けてくれって」
「三好さん……」
そんなことをしそうな人は、私の知る限り彼女しかいない。
なんだか、言いたいことがたくさんある気がするのに、いろんなことが一気に起こったせいで頭がいっぱいで、うまく言葉にならない。
「ごめんな、真白。俺のせいでこんな目に合わせて」
桐生くんはしゅんと眉を下げて困り顔をする。
「この前、友達に言われたよ。おまえは、女心が全然わかってないって」
「お、女心……?」
「いきなり知らない奴にグイグイ押しまくられても、引くだけだって」
「…………」
まっとうな意見を言ってくれたその友達に、私は感謝した。