恋愛零度。
「真白じゃなきゃダメなんだ。ほかの誰かじゃ、ダメなんだよ」
桐生くんのまっすぐな眼差しが、私を貫く。
力強い声が、心を揺さぶる。
こんなにカッコいい人に告白なんてされたら、きっと普通の女の子なら、誰だって嬉しいはず。
だけどーー、
「……ごめんなさい」
私は、その気持ちを受け取ることは、できない。
なにを言われても、私の心が動くことはない。
「……面倒なの。誰かを好きになって、浮かれたり、落ち込んだり、傷ついたり、傷つけたり。そういうのが、全部、嫌なの。なにもなければ、なにも感じなくて済むから」
やめておけばいいのに、私の口からは勝手に冷たい言葉が零れ落ちる。
自分に向けられる優しさを、好意を、全身で拒絶する。
いままで誰に対しても、そうしてきたように。
これ以上誰にも心をかき乱されないように。