恋愛零度。
5.『ありがとう。』
小さい頃から、予定通りにいかないのが嫌だった。
時間通りに決まったことができると安心した。
そうすると、お母さんが喜んでくれるから。
いつだって、私の基準は、お母さんだった。
『お母さんの言う通りにすればうまくいくから』
『だからちゃんと言うことをきくのよ』
ずっと、その言いつけを守ってきた。
学校でも家でも、優等生でいようとした。
お姉ちゃんみたいに1番になれなくても、目立たなくても、自分なりに「いい子」でいようとした。
だけど、私の前に突然現れた君は、いつだって突拍子もなくて、予想がつかないことばかりするから。
私はどこか、目的すらわからない不安定な場所に立っているような、そんな気分になるんだ。