恋愛零度。
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「おかえりなさい、真白」
家に帰ると、遅くなると言っていたはずのお母さんがもう帰ってきていて、夜ご飯まで出来上がっていた。
「……ただいま」
遅くなるって言ってたのに、なんで。
「仕事が思ったより早く片付いたのよ。それで急いで帰ってきたの」
お母さんが私の心の声を覗いたように言う。
「そ、そっか」
私は短く言って、靴を脱いで自分の部屋に行こうとしたけれど、
「待ちなさい」
案の定、止められてしまった。
「夕飯の準備、頼んだわよね。どうしてこんなに遅くなるの。たまたま早くこれたからよかったものの、終わらなかったら今からご飯作ることになるのよ。この前のテストの結果も下がってたし、少し気が緩んでるんじゃないの?」
息もつかず、一気に、お母さんは言った。